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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(あ)1169号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人小関藤政の上告趣意一、二点について。

所論は、いずれも原審における国選弁護人の選任が控訴趣意書提出期間後であることを前提とするものである。しかし、原審は控訴趣意書提出最終日を昭和二四年九月一〇日と指定しその提出期間内に国選弁護人を選任し、同弁護人もその期間内に趣意書を提出し、原判決はこれについて判断を加えていることは記録上明白なところである。されば、論旨一点の弁護権の制限等の主張はその前提において採用し難く、また、論旨二点の判例違反の主張も本件では適切でないから採ることができない。

同第三点について。

しかし、刑の量定に関する事項については記録上これを認むべき証拠あるを以て足り訴訟法上証拠を掲げてこれを説明するを要するものでないばかりでなく、所論適示の原判決の説示は、第一審判決の確定した事実に照し当然推論し得られる事柄であって、所論引用の判例に毫も反するところはない。されば、所論憲法違反の主張は、その前提において採用し難い。

同第四点について。

所論前段は上告審において新らたに心神耗弱の主張をするものであり、所論後段は量刑不当の主張であるから、刑訴四〇五条に当らないし、また、本件では同四一一条を適用すべきものとも認めることはできない。

よって同四〇八条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 岩松三郎)

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